長崎乱楽坂

2004
新潮社
幼い駿は、猛々しい男が毎晩酒を酌み交わし、女たちが忙しく働きまわる母の実家、長崎の三村家で育つ。父親は他界していた。60年代から80年代。昭和の匂いを感じさせる街や人々。幼い頃からここから出たい、と願いながらもここから一歩も出ることがなかった主人公の野心がしぼんでいくように、一家も次第に賑やかさを失っていく。かつては町一帯を仕切っていた一族の栄枯盛衰を見つめてきた。そんな男の胸に去来するものは。吉田修一のふるさとでもある長崎を舞台に、ひとりの男の成長と、ひとつの家の没落を描く長編。
吉田さんの初期の小説の中に長崎に暮らす家族を印象的に描いた場面があり、強く惹かれて、この家族の物語を読みたい、とお願いしました。芥川賞受賞後の忙しい中で、書き進めて下さり、ほぼ隔月で連載していただくことができました。何回読んでも、熱に浮かされたような気持ちになる小説。描かれているのは、紛れもない日本の家族なのに、まるでイタリア映画のような世界。吉田さんの小説の瑞々しさと迫力を同時に堪能できる、傑作長編です。

(新潮社 M)

『長崎乱楽坂』

吉田 修一  
定価:420円(税込)
新潮文庫

『長崎乱楽坂』
 [単行本]

吉田 修一  
定価:1,365円(税込)
新潮社
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『長崎亂樂』

吉田 修一  
麥田
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